犬のワクチン

何種混合ワクチンを接種すればいいか?

仔犬さんはいつワクチンを接種すればいいか?

ワクチン接種後の注意

  『 何種混合ワクチンを接種すればいいか? 』


 一体「何種混合ワクチン」を接種したらよいのか迷ってしまうことも多いのでは
ないでしょうか?
 当院では、5種、8種を用意しております。

 今後1年間において、キャンプなどで山、沼地や湿地等に行く可能性が高い場合は
8種をお勧めしております。


 逆にほとんど家の中で生活し、散歩もリードをつけて近所を散歩するだけだという場合は
5種でいいのでは、と考えております。


そう考える理由は・・・  5種は最低でも必要であると考えています。
その5種ワクチンにレプトスピラ(3種類)を加えたものが8種です。


 レプトスピラ症は人畜共通感染症すなわち、人にもうつることがありうる病気です。
レプトスピラに感染している犬や他の動物(特にネズミ、アライグマなど)の尿中に細菌が
排泄され環境を汚染します。この菌は水の中では長期間生息しますので、犬が水溜りや
池などに入って感染することがあります。そのため、キャンプや散歩等で山や湿地等に
よく行く犬は感染する可能性があります。しかし北海道では現在、よく見られる病気では
ありません。また、ヒトも犬も感染すると必ず重症になるというわけではありません。むしろ、
感染しても症状が出ないことが多いのですが、しかし中には死にいたるケースもあります。


 こういったことを考慮していただき5種か8種を選んでいただければいいかと考えます。


 話が前後しますが5種混合ワクチンの「5種」とは次の5種類のウイルス病のことです。

 1.
 ジステンパーウイルス感染症
 2 .
アデノウイルス I 型感染症(犬伝染性肝炎)
 3.
 アデノウイルス II 型感染症(
犬伝染性喉頭気管炎)
 4.
 パラインフルエンザ感染症
 5.
 パルボウイルス感染症

  [ ジステンパー ]

 ジステンパーウィルスに感染して起きる病気です。感染した犬の咳、くしゃみや(空気感染)、
感染した犬が使った物(間接感染)や、感染した犬に触れること(直接感染)により感染します。
最初は発熱、目やに、鼻水がでて、元気、食欲がなくなるなど風邪のような症状がでます。
次に下痢、嘔吐、高熱、咳等が出るようになります。病気が進行すると肺炎や、震え、痙攣、
麻痺などの症状がでます。治療後も神経症状は完全には回復せず、後遺症が残ることもあり、
特に幼犬、老犬、病後の犬の場合は死亡する事が多い病気です。



  [ パラインフルエンザ ]

 
パラインフルエンザウィルスに感染して起きる病気です。咳やくしゃみ、鼻水、発熱など風邪の
ような症状がでます。軽い症状で治ることもありますが、他のウイルスや細菌などと混合感染を
起こすと重症になり、気管支炎や肺炎等を起こすこともあります。感染力が非常に強く、
直接感染や、空気感染により感染します。



  [  犬伝染性肝炎 ]

 アデノウイルスに感染して起きる病気です。このウイルスの感染により肝臓障害、
腎臓障害を起こします。感染した犬の唾液、尿に含まれるウイルスが口から入り
(経口感染)感染します。高熱を出し、元気がなくなり、鼻汁、目やに、嘔吐、下痢、
さらにひどくなると黄疸が起こります。また、急性のものは原因不明のまま一日で
死亡することもあります。回復期には、ブルーアイと言われる角膜の白濁が
見られることがあります。



  [ 犬アデノウイルス2型感染症(犬伝染性喉頭気管炎) ]

アデノウイルスに感染して起きる病気です。発熱、食欲不振、クシャミ、鼻水、
乾いた咳がみられ、肺炎を起こすこともあります。他のウイルスや細菌などと混合
感染を
起こすと気管支炎や肺炎
になり、死亡率が高くなる病気です。


  [ パルボウィルス感染症 ]

 犬パルボウィルスに感染して起きる病気です。特に子犬においては、死亡率が
非常に高い病気です。空気感染、間接感染や直接感染により感染します。感染すると、
激しい嘔吐、出血性の悪臭のある下痢、食欲不振等により衰弱していきます。
このウィルスは通常の消毒では失活せず、一度発生すると非常に厄介です。





  
『 仔犬さんはいつワクチンを接種すればいいか? 』

 ワクチン接種プログラムには、仔犬の生活環境やワクチンの種類などにより
いくつかの方法がありますが、当院では次のようなプログラムで接種しています。


 1回目:生後2カ月前後
 2回目:1回目ワクチン接種後、3から4週間後
 3回目:2回目ワクチン接種後、3から4週間後

で1年目の混合ワクチンは終了で、来年以降は3回目のワクチン終了後から
1年おきに、毎年接種することを勧めています。3回目のワクチン接種後1週間ほどで、
抗体の量が十分増えるためそれまでは他の犬との接触を避けるようにお願いしています。


 ただしワクチンを3回接種しても100%病気を防げるわけではありません。
(4回、5回接種しても100%病気を防げるわけではありません。)


 3回目のワクチンが終わるまでの3から4ヶ月齢は社会化を身につける最も良い時期と
考えられているため、本当はこの時期こそ他のたくさんの犬と思いっきり遊ばせて
やりたいのですが・・・理想的には完全に消毒された環境下で、ワクチンを少なくとも1回は
接種している子犬ばかりを集めて遊ばせる・・・なかなか難しいです。





 
 『 ワクチン接種後の注意 』

 ワクチン接種後にアレルギー症状がでてしまうことがあります。顔が別の犬かと
思うほど腫れたり、急に元気が無くなったり、ショック状態になることもあります。
今まで何でも無かったから今回も大丈夫というわけではありません。

 アレルギー症状は早い子で10分、遅い子で4時間ほどで発生します。
夕方接種して夜間に具合が悪くなるという状況を避けるため、出来るだけ午前中に
ワクチンを接種することをお勧めしています。また、ワクチンを接種した日は激しい運動を
避けてください。またお風呂は3、4日、可能であれば、1週間ほど避けてください。
万が一、様子がおかしい時はすぐに病院に連絡してください。