『 何種混合ワクチンを接種すればいいか? 』


 猫のワクチンもいろいろ種類があります。3種、4種、5種がおもなところでしょうか。
さらに猫エイズ(猫免疫不全ウイルス)に対するワクチンも日本で発売されました。


 猫をまったく外に出さない、ノラ猫との接触もまったくないということであれば、
3種で十分だと思います。リードをつけて、他の猫との接触をさせずに
散歩される方もおられますが、その場合も3種でいいかと考えます。

外に行く猫は・・・何種の混合ワクチンを接種するべきかを考える前に・・・。
猫を飼うときは必ず室内飼育をしなければなりません。

外飼に慣れた猫を室内飼いにするのは大変かと思いますが、
室内飼いにしなければなりません。
ただ、どうしても脱走して外に行く可能性がある場合や
猫をたくさん飼っている方で、その中の何匹かが猫白血病や猫エイズウイルスに
感染している場合等、それらのウイルスに感染する可能性があるので
4種(3種に白血病のワクチンを加えたもの)や猫エイズのワクチンを
接種する選択肢もでてくるかと思います。
猫白血病ウイルスに対するワクチンも、猫エイズに対するワクチンも
接種した部位に悪性のしこり(肉腫)ができることがまれにあるようです。
また100%それらの病気を予防できるわけではありません。
もし、猫白血病と猫エイズのワクチンを希望される場合は、
それらのウイルスに感染していないかどうか院内で検査してからになります。
もしすでに感染していたら、これらのワクチンを接種する意味がないからです。
(ただしこれらのウイルスに感染した直後は検査でわからないこともあります。)
また猫白血病や猫エイズウイルスはお母さんからもらっていることもあるため、
外に出さない猫でも最初の注射前には検査をした方がいいでしょう。

これらのことを踏まえて、相談させていただいた上でどのワクチンを接種するか
決定していただければと思います。


 猫伝染性腹膜炎(F I P)等ワクチンの開発されていない病気もあります。


外に行くので4種混合ワクチンや猫エイズワクチンを接種したから
もう安心ってことではありません。

感染症だけでなく、交通事故に遭う猫も本当にたくさんいます。





最低限、次の3種は接種してください。


  [ 猫カリシウイルス感染症 ]

 猫カリシウイルスに感染して起きる病気です。かかりはじめはクシャミ、鼻水、
発熱など風邪の症状がでます。症状が進むと舌や口腔内に潰瘍ができることもあり、
また、肺炎を起して死亡することもあります。
風邪が治っても、カリシウイルスは
長期間ウイルスが残り、他の猫に感染させることがあります
。主に飛沫により感染します。


  
[ 猫汎白血球減少症 ]

 猫パルボウイルスに感染して起きる病気です。白血球が極端に少なくなる病気で、
高熱、嘔吐、食欲低下、下痢による脱水症状が生じます。体力のない子猫などは、
1日で死ぬこともある病気です。このウイルスは消毒に対する抵抗力も感染力も
非常に強く、感染猫との接触や感染猫の便、尿、嘔吐物など
汚染された物によって感染します。



  [ 猫ウイルス性鼻気管炎 ]

 猫ヘルペスウイルスに感染して起きる病気です。クシャミ、セキ、鼻水、涙、
重度の結膜炎を引き起こします。また、高熱、元気食欲がなくなります。
典型的な風邪の症状がみられます。症状が進行すると
気管支炎から肺炎を起こします
猫では症状が重く、時には死亡します。また、妊娠中の猫の場合は
流産することもあります。
感染猫のクシャミ、ヨダレ、また汚染された食器、
衣服などによる間接的な感染もあります。



  上記の3種に白血病ウイルスに対するワクチンを加えたものが4種です


  [ 猫白血病ウイルス ]

 猫白血病ウイルスに感染して起きる病気です。 感染の初期は、発熱、下痢、
リンパ節の腫れなどがみられますが、一時的ですぐに良くなります。その後、
数ヶ月以上経過して食欲不振、元気喪失、血液の腫瘍(白血病、リンパ腫)、
貧血などの症状が現れ、3年以内に80%は死亡するといわれています。
病気に対する抵抗力が弱まるため、いろいろな病気も併発しやすくなります。
感染してから発病までの期間が大変長く、その間は見かけ上健康に見えますが、
ウィルスを排泄し、他の猫へうつします。
感染猫の唾液中にウィルスが多く
含まれているために、体を舐めあったり、同じ食器で食事をしたりすることで感染します。



 さらに、もう1種類、クラミジアに対するワクチンを加えた5種も販売されてますが、
当院では扱っておりません。(希望される場合は早急に取り寄せいたしますが・・・)



  [ 猫のクラミジア病 ]

 クラミドウィラフェリスに感染して起きる病気です。菌は眼や鼻から侵入するため、
結膜炎、鼻水、クシャミ、セキがみられます。肺炎を起すこともあります。
通常の猫同士の接触や空気伝播により感染が成立するため、特に仔猫では
症状が悪化しやすく、また、一度感染すると症状が良化した後、
慢性的に症状がみられることがあります。



 上述の通り猫エイズウイルスに対するワクチンが日本においても発売されたました。

  [ 免疫不全ウイルス感染症 ]F I V

 猫エイズウイルスに感染して起きる病気です。このウイルスの感染により、
免疫不全を起こします。感染しても直ちに症状がでることはなく、
慢性の治りにくい口内炎、口内潰瘍、歯肉炎、歯肉の増殖、慢性の下痢、
風邪の症状、リンパ腺の腫れ、慢性皮膚炎、体重の減少等が徐々に現れてきます。





  以下の病気は、まだワクチンが開発されていません。


  [ 猫伝染性腹膜炎 ]F I P

 コロナウイルスに感染して起きる病気です。感染した猫の鼻の分泌物、
尿を介して感染します。感染すると腹膜炎を起こし腹水がたまる他、胸の中にも
水がたまることがあり、その他に発熱、食欲不振、貧血、黄疸、下痢等で衰弱し
死亡することもあります。また、長期間の発熱、体重の減少により全身の臓器、
中枢神経が侵されることもあります。






 『仔猫さんはいつ ワクチンを接種すればいいか? 』


 ワクチン接種プログラムには、仔猫さんが今後、外にでるのかどうか等、
生活スタイルやワクチンの種類などによりいくつかの方法がありますが、
当院では次のようなプログラムで接種しています。

 1回目:生後2カ月前後
 2回目:1回目のワクチン接種後、4週間後

 ワクチンを接種してから抗体がつくられるまでに1〜2週間ほどかかります。
抵抗力の弱い仔猫の時期、2度目の接種が済んでから1〜2週間は、
他の猫ちゃんとの接触をさけるようにしてください。





  
『 ワクチン接種後の注意 』


 ワクチン接種後にアレルギー症状がでてしまうことがあります。一過性の発熱や
元気消失、食欲不振等の症状を示すことがありますが、たいていは1日位で
おさまります。さらに
顔が腫れたり、ショック状態になることもあります。
今まで何でも無かったから今回も大丈夫というわけではありません。
その場合はすぐに動物病院に連絡してくだい。ワクチンを打たずに伝染病に
かかってしまうほうがよほど恐いことですから、副作用を恐がらずに、ぜひワクチンを
接種してください。
夕方接種して夜間に具合が悪くなるという状況を避けるため、
出来るだけ午前中にワクチンを接種することをお勧めしています。
またお風呂は3、4日、可能であれば、1週間ほど避けてください。





何種混合ワクチンを接種すればいいか?

仔猫さんはいつワクチンを接種すればいいか?

ワクチン接種後の注意

猫のワクチン